チューブの先端についた回転子を宙に浮かせた状態でマグネチックスターラーで動かし、液体の撹拌ができる「振り子式撹拌子」fricco。
「宙に浮いたマグネットを振り子のように動かす」というシンプルな構造から、お客様から様々な実験に転用できないかお問い合わせを頂いています。
ほんの一例ですが、friccoの使い方や用途などの活用アイデアのご紹介を致します。
開放系実験でのfriccoチューブの活用
多くのお客様から声をいただいているのが、「開放系実験で使える撹拌装置はないか?」という問い合わせです。
弊社は密閉状態を維持した磁気カップリング製品をメインに製造・販売しておりますが、開放系実験の場合磁気カップリングの撹拌機はオーバースペックとなりがちです。そういった場合、ビーカー内の水を混ぜる程度であればfriccoをクランプ等の固定器具で吊り下げてマグネチックスターラーで撹拌することが出来ます。
500mビーカー・水程度の粘度であれば問題なく撹拌可能です。常に宙に浮いているので内容物をすりつぶすことなく、ビーカーの底面を傷つけないのでコンタミのリスクを避けることが出来ます。
friccoを横向きにして気液を混ぜる撹拌
friccoチューブを挿して水を入れた試験管を横向きにし、マグネチックスターラーに近づけると試験管内に激しい気流・水流が生まれます。
friccoを横向きにすることにより、マグネットが円を描く動きから上下の動きに変わります。この動きを試験管に入れたfriccoで利用することで、試験管の内部で水面を激しく叩きつける動きを繰り返し、激しい気流が形成された模様です。
ここまではfriccoをどのような使い方で使うかを説明していましたが、ここからは「friccoで何を撹拌するか」について焦点を当てていきます。
friccoで生クリームを撹拌する
水と油が微粒子状になって互いに分散した状態の液体を「エマルション」と呼びますが、friccoでそのような液体を撹拌を行ってみました。今回は身近に手に入る生クリームを使って、以下のような実験を行いました。
生クリームを使ったfriccoの撹拌実験
実験に使用した部材
・よく冷えた生クリーム(乳脂肪分47%)× 50g
・50mlバイアル瓶 × 2本
・マグネチックスターラー(回転数=rpmが見えるものを使用) × 1個
・fricco FR-SV50-5P (50mlバイアル瓶用) × 1個
・一般的な回転子 × 1個
実験内容
① 50mlバイアル瓶2本にそれぞれ生クリーム25gを注ぐ。
② バイアル瓶の片方に回転子、片方にfriccoをいれる。
④ バイアル瓶をそれぞれ1500rpmで高速撹拌し、双方の変化を比較する。
回転子で撹拌した生クリームは暫くは変化が目に見えませんでしたが、約2分で水面は液体のまま瓶の底の色が徐々に濃くなる変化が現れました。そのまま約3分まで撹拌を続けると生クリームがどんどん固形化していき、生クリームがバター状に変化していました。
いっぽう、friccoで混ぜた生クリームは回して1分ほどで水かさ・かき混ぜていた音が変わり、明らかに液体に変化が現れているのがわかりました。スターラーを停止して確認すると、生クリーム全体がなめらかなホイップ状に変化していました。
なぜ回転子とfriccoで異なった結果が出たのでしょうか?
回転子で撹拌した際、生クリームが底面からバター状に変化しました。これは回転子が高速回転した時に発生したせん断の力により脂肪を覆っている膜が傷つき、脂肪の球同士がくっつきやすくなって大きな塊となったためです。撹拌の際水面の変化が小さく、空気があまり混ざらなかったのでホイップ状にはならなかったのだと思われます。
それに対してfriccoは、周囲の空気を巻き込みながら容器全体を撹拌しました。脂肪同士が結合したところにさらに空気が混ざりあった結果、クリーム内に気泡が入りホイップ状に変化したのだと思われます。
底面でのみ脂肪が固まった回転子に対し、空気を巻き込んで全体混合しホイップ状になったfricco。反応の違いが見えてくる結果となりました。
ちなみに、ホイップ状になった生クリームをそのままfriccoで撹拌すると、徐々に生クリームが固くなり、最終的にバター状に変化しました。
「生クリームをホイップするとき、泡立てすぎると失敗する」という話を聞いたことがありますが、その理由を実験で感じられました。
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